「結婚したら、急に性格が変わるってことあるんでしょうかねぇ。」「えっ?」「友人が結婚したんですけど、相手の人が暴力を振うらしいんです。付き合っているときは、そんなことなかったみたいで…」「ふーん。」
ある日、職場で交わされていた会話です。その時、私は直接話に加わっていなかったのですが、「DVのことかなあ。」と思ったと同時に、それ以上立ち入って聞いていいのか躊躇してしまいました。ふたりの会話もそこで終わってしまったようでした。
DV=ドメスティック・バイオレンス(夫や恋人など親密な関係にある男性から、女性に対して振るわれる暴力)に関しては、2年くらい前から、ようやく、様々なメディアで取り上げられるようになってきました。
関係機関の調査結果によると、3人に1人が夫から暴力を受けたことがあるといい、そのうち20人に1人が命の危険を感じるほどの暴行を受けています。このような実態が調査結果として明らかになってきたのも、ここ1年くらいのことです。
DVは「犯罪」であるといわれ、人権に関わる深刻な問題であるにもかかわらず、これまでは、「個人の問題」「内輪の夫婦喧嘩」というとらえ方をされてきました。それはどうしてでしょうか。
DVは家庭という閉じこめられた空間で起こります。そして、多くの人々の意識の中には、「妻は夫に従うべき」という価値観が根強く生きています。被害者である女性自身も「家の恥」という意識が働き、また「殴られる私に非があるのではないか」と考えてひとりで悩んでいる場合が多く、それが問題を閉じこめてしまっていました。「他人の家庭にどこまで介入できるのか」という周囲の戸惑いも、DVを閉じ込めた理由のひとつではないでしょうか。今までの警察等の対応もまた被害者を拒否し、個人の責任にしていました。
私自身、DVの実態を講演やテレビの特集番組、関連図書等で知る限り、単なる夫婦喧嘩とは違うのがよくわかりました。DVは、殴る・蹴るという身体的なものだけでなく、無視をする等の精神的暴力、生活費を渡さない等の経済的暴力などに分けられ、暴力を振るう者と振るわれる者が固定されています。結婚をすると、夫に養われる妻、夫に従う妻という関係が成立し、ひとりの対等な男性と女性という関係が失われてしまっているのです。だからといって暴力を振るっていいということにはならないはずです。
どういう男性が暴力を振るうのでしょうか。私の甘い考えかもしれませんが、好きだと思う気持ちが、どうなると妻を殴るようになるのか、そのしくみが理解しにくいところです。相手が妻だから、殴っても蹴っても許されると思ってしまうのでしょうか。
被害者である女性を支援する相談機関や施設も増えてきましたが、まだまだ情報も不充分です。DVをはじめとして、女性が様々な悩みを相談したり、女性の自立を支援できる相談窓口が必要であり、支援をする人や関係機関のきめ細かなネットワークづくりの大切さを痛感しています。
6月に開催された国連「2000年女性会議」において、DV防止法の法制化を求めることが採択されました。それを受けて国をはじめとして、今後の対応が注目されるところです。
「ひとりで悩まないで」というメッセージが届きますように。となりにいるあなたからも、「相談できる仲間だよ」というメッセージが届けられますように。家庭という大切な場所から、まずひとりひとりの人権が尊重され男女平等が実現できるようにと思います。
(瑠)