八尾のまち・やおの環境

   PART10

 環境カウンセラー 中辻 えり子

 11月の末、小春日和の午前に、市内を自転車で通っていて、なつかしい風景を見かけました。あるマンションの2階のベランダで、十数枚の布のオムツがやさしい風に揺れているのです。その横で、若いお母さんが小さな肌着を干していました。

 そういえば、赤ちゃんをおんぶしている姿や、自転車の前に乗せている姿をあまり見かけなくなりました。よく見るのは、呼びとめられたのかと思うくらい間近で声がして振り返ると、すぐ近くを歩きながらしゃべっている人の手に携帯電話です。自転車に乗って、又、自動車を運転しながら片手で携帯電話を耳にあてているのを見かけます。
 赤ちゃんの様子を伺いながら水洗いする布のオムツ、温もりが伝わる「おぶいひも」、同じ風に向かって走る自転車、人と人とのおしゃべり…、共に感じながらの行動が減っています。人の手や足から生まれるエネルギーが、別のエネルギーでまかなわれることが多くなりました。自然界から得たエネルギーが大量に使われています。限りある資源から大量に物が作られています。限りあるとわかっていながら…。

 地球温暖化のせいか、毎年夏を迎えるのがこわいくらい、暑さがきびしさを増しているのとは裏腹に、私達は汗をかかなくなりました。うちわや風鈴、よしずやすだれ、打ち水のある風景を見ることが少なくなり、まちでは、冷房の室内と熱射の屋外を往き来する夏になっています。
 でも、暑い夏のまちで、ここちよい汗をかく、人のにぎわいが実は八尾で盛んになってきているのを御存知でしょうか。それは『祭り』。祭りどきに、自転車で市内の「ふとん太鼓」を追いかける楽しみを覚えてから、各所で行われている夏祭りが年々盛り上がってきているのを感じています。共感することが少なくなってきた今、人と人との交流が希薄になってきた都市に住んでいるから、余計に本能的に人のにぎわいを祭りに求めているのではないかと思うくらいにです。太鼓の音に、小さい人達からお年寄りまで心が浮き立ち、祭りに集まってきます。同じものを見て、楽しんで、又、来年もという気持ちが人と人の心をつないでいくのでしょうか。

 2000年もあとわずかです。『21世紀に残したい風景』というような、記録にとどめられ、すたれてしまうことのないようにと思うことがいっぱいあります。人の手を使うこと、人の手が届くところを減らしたくはありません。21世紀を間近にしながら、そんなことに思いを巡らせています。今はもう、師走。

 

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