共有する時間は…   PART2

環境カウンセラー  中辻えり子

 空気が澄んでいます。風が冷たくなってきました。今年は紅葉がとても見事です。夏の暑さと雨が少なかったことが原因とか。街路樹の花みずきやいちょうの紅や黄色が見上げる青空を背景に鮮やかです。校庭の周りに植えられた桜の葉はフェンス越しに道路にもこぼれ落ち、自転車の車輪はよけたり、踏み込んだり。秋から冬への季節の移ろいも話題の一つにと玄関に立つと…。

 いつもは開けられるドアが閉まっています。ベルを鳴らしても応答がありません。外から様子を眺めると、居室の窓は少し開いています。もう一度ベルを鳴らすと、奥の方から声が聞こえて、しばらくしてドアが開きました。肩で息をしています。部屋に戻り、声かけしながら様子を見ていると、少し落ち着いてこられました。緊急で連絡する必要はなさそうです。聞いてみると、朝から何も食べる気がしなくて、コタツで横になっていたとか。掃除と買物で週に2回訪問する、一人暮らしの女性のお宅でのことです。買物の内容をお聞きするうちに、食欲も出てこられたのか、食べたい食品の名前も出てきました。甘いものも買うことにしました。

 買物から帰ると、もうしっかり座っておられます。購入品を見せ、おつりを確認して頂いて、他の部屋から掃除を始めました。次は居室の掃除をしようと戻ってくると、先ほどコタツの上に置いたバッグの中のおはぎが2個なくなっています。満足そうな落ち着いた表情が見られます。お茶をすすめた後、掃除を続けます。雑巾がけをする頃には、利用者の方からの声かけが多くなってきました。手には糸切りバサミを持って、ズボンのすそをほどいています。片方を手伝っているうちに派遣時間はそろそろ終了です。

 色々と交わした会話の中で、「一人で暮らしていて一番気になることは、孤独と不安です。」という言葉がありました。食事が作れない、家の片付けが出来ないという目に見えることばかりではない利用者の思い。退出時には明るい声で「きれいになりましたよ。ありがとう。又、来て下さいね。」の言葉に、元気にしてもらったのは反対に私の方なのにと感じることが多い、在宅訪問の日々です。

 

八尾市の人口 注1 世帯数 注1 一人暮らし世帯 注2 一人暮らし高齢者世帯 注3
276,266人 108,756世帯 20,010世帯 3,928世帯

注1 平成13年11月 1日現在
注2 平成 7年10月 1日現在
注3 平成13年 9月15日現在

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