市町村精神保健福祉元年に向けて


八尾みのり会共同作業所スタッフ 弘 瑛美子

 平成14年度から、都道府県の精神保健福祉業務が市町村に移管され、ホームヘルプ等の居宅生活支援が本格的にスタートします。

 まず、「精神障害者」のための福祉サービスは、他の障害の既存サービスに比べて大きく遅れをとっているのが現状です。ホームヘルプサービスも長い間望まれながら、なかなか実現できなかったサービスの一つです。「精神障害者」のためのホームヘルプサービスとは、具体的にどういうものなのでしょうか?利用者にとっても、行政にとっても、ヘルパーにとっても、実際に始まってみないと解らないというのが現状なのかもしれませんが、他のハンデを持つ方のサービスとのちがいを、みなさんと考えてみたいと思います。

 「精神障害者」は、行政の福祉サービスの整備の遅れ、医療面での問題点、社会資源の不足等、そして、云われなき偏見、誤解による社会的な差別意識から、そういったものに敏感で、繊細な“感性”を持つ当事者自身が、自分を責めたり家族のことを気遣ったりするため、声をあげて自分たちの望みや権利を訴えて行く事すら難しい環境にありました。平成7年に精神保健福祉法が制定され「精神障害者」も福祉の対象となり、医療、行政福祉サービス等、改善されてきた面では、長い間その社会背景により苦しまざるを得なかった当事者にとっては大きな進歩でしょう。しかしまだ、それぞれの当事者に関わる医療、行政、福祉的な面でさまざまな問題を抱えています。なぜスムーズに改善されてこなかったのか・・・。当事者にかかわる専門家たちはその専門家主導のもとに業務が行われてきたという事に問題があるかもしれません。当事者のニーズに寄り添うことを、怠ってきたのかもしれません。ホームヘルプサービスは、そこに大きな期待が込められているような気がします。一人のヘルパーが、一人の人間として、個人として当事者と出会い、観察し、その人のニーズを掘り起こしていく。「精神障害者」の場合、最初は“ニーズ”はなかなか見えにくいものだと思います。出来ないことをただ代行しサポートするのではなく、一緒にその人の持てる力を利用しながら自立へと結びつけて行く。「精神障害者」と呼ばれる人たちは前記したように病気の苦しみとともに、社会的な誤解、偏見から自分を大切にされることに慣れていない面もあると思います。ヘルパーの気長で、継続的な、あたたかい支援によって自尊意識が芽生え、初めて“ニーズ”が出てくるものかもしれません。

 医療、行政、社会資源、ホームヘルパー、それぞれ立場は違いますが、それぞれの専門性を生かしながら当事者を中心としたケアが望まれます。そのためには、本人のニーズを第一に考え、それぞれの専門家が、相互に連携し合ってゆく事で、より豊かに発展してゆくものだと考えています。
    こころ優しき人たちのために・・・。

 

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