(第1回)

居場所はここにある

 「過去と他人は変えれない、未来と自分は変えられる。」この言葉は、心理学者のカール・ロジャースという人の言葉である。97年に、大阪のYWCAで金香百合さんの人間関係という講座を受講していたときにこの言葉に出会った。
 私はこの言葉に出会って楽になった。その頃、私は結婚、出産を経て、働くことや生きることが、いままでのやり方ではままならない状況に陥り、心のきしみを感じていた。

 私は在日コリアン3世である。物心ついたころから、この社会は自分のいるところではないと漠然と感じていた。日本社会で生まれながら、日本人ではないマイノリティに生まれたことで正直悩んでいたと思う。自分を隠して生きながら、いつも私は自分の居場所を探していたような気がする。
 居場所をつくるために、日本人をかえなければと使命感に燃えた時期もあった。いつも、他人が私を受け止めてくれるのかそのことに必死で、人に出会うたびに過剰ないい人(朝鮮人)を演じ、疲れ、変わらない他者にいらだち、変えることのできない自分を責めてきた。娘を産んだとき、居場所のない子を産んだような気がして、目分のこども時代を娘に投影して、とても苦しかった。我が子に、私のような子ども時代を送ってはほしくなかった。
 今にして思えば、私自身が自分の子ども時代を受容することができなかったのだ。子どもを育てることで自分の過去をやりなおしたかった。子どもに私の人生のリセットボタンを押してほしかった。私の子ども時代のリベンジを私は子育てに託そうとしていた。

 そんな時に、私はYWCAの人間関係という講座に出会った。そこで多くのことを学んだと思う。また、CAPという子どもへの暴力防止プログラムも知り、八尾というこの地域でCAPを実践する人たちとの新しい出会いもあった。
 そんないろんな人たちとの出会いによってエンパワメントされていく自分を実感することができた。

 ある集会で、娘が朝鮮人であることで、私のようにいじめられ体験をするのではないかと、つい涙ぐんでしまったことがある。そのとき、「大丈夫やん。そんな心配せんとき。私もポンミもいろいろあったけど、今ちゃんと生きてる。子どもにもその力あるで。」といってくれた人がいた。たぶん、娘にもきっといろんなことが起きるだろう。心配ではある。でも最近はこの子はこの子なりに生きていくのだなと感じはじめている。私にできるのは我が子をはじめ私の大切な人たちを大切だと思うこと。そして今はいろいろあったけど、それはそれでなかなかがんばってきた自分がいとおしいと思う。

 私がいるところが、いつも私の居場所なのだ。

※エンパワメント・・・自分の内面の力を引き出す力

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