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「一ヶ月前からお母さんが帰ってこないの」モザンビークで日本人駐在スタッフの小倉さんとモザンビーク人スタッフとで私たちが支援している子どもの家を家庭訪問していたときのことだ。話をよく聞いてみると、お母さんは町の親戚の家に行くと言ったきり家には帰ってきていないそうである。モザンビーク人スタッフはすぐに私に説明してくれた。新しい奥さんがこの子の母親を追い出したのであろうと。

毎年、アジア、アフリカ、中南米の私たちの活動地を訪れるが、そのたびに感じることは弱い立場の人が虐げられていることである。それは女性と子どもたち。

アフリカでは多くの所で一夫多妻が続いている。そしてここモザンビークでもその習慣が根強く残り、同じ敷地内に夫の家、3人や4人の妻にそれぞれの家があることは珍しくない。同じ敷地に住んでいながら、お互いが干渉しあうことはまずない。女性にとっていかに夫に捨てられずにいるかが生きるカギとなる。子ども同士も決して一緒に遊ぼうともしない。大人によって子どもたちの心の中に知らず知らずのうちに垣根を作らせている。

京都でこの話をしたときに「一夫多妻もその土地の文化だから仕方がない」と反応した大学生がいた。しかも女性であった。本当にそうなのであろうか。もし私たちが、一夫多妻について踏み込んでいかなければ同じ悲劇がいつまでも繰り返される。この女の子はこれからお母さんなしで生きていかねばならない。別のお母さんが彼女の面倒をみることはまずない。学校を辞め、働きに出ざるを得ない。それは彼女の行く末を決定付けてしまうことになる。

私たちは飢えと貧困の中にいる人々の中に入っていって貧困の輪を断ち切る努力を積み重ねている。そのためには時としてあえて文化に踏み込んでいく勇気が必要である。

 

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